お話を伺った方

遠藤匡王さん

犬や猫をはじめ、鳥類や小動物までペット捜索で多くの実績をもつジャパンロストペットレスキューの代表理事。その活動は多くのテレビ番組や記事でも取り上げられている。
フリーダイヤル:0120-161-789

ベランダからの落下や、動物病院の行き帰りの脱走なども

ジャパンロストペットレスキューにはさまざまなペットの捜索依頼が入りますが、依頼の8割は猫の捜索だそうです。
「一番多いのは、自宅の玄関や窓の開閉の隙に脱走してしまうケースですが、最近ではマンションのベランダからの落下事故も増えています。洗濯物の出し入れについてきて、その様子が楽しそうだからと許しているうちに、手すりに乗るようになったりと、行動がだんだん大胆になってくる。そして足をすべらせたり、虫や鳥に反応して落下してしまうことも。また、日常生活だけではなく、動物病院の行き帰りや、引っ越し、猫を連れた帰省や旅行などの途中で脱走してしまう場合も少なくないんです。」(遠藤さん)
ベランダに出すことは、脱走の危険だけではなく、落下による怪我や、最悪の場合命を落とすことにもなりかねません。飼い主としては慎重に考えるべきですし、家から離れた場所での脱走は捜索が困難になるだけに、移動時は充分気をつけるべきだということ、納得です。

脱走ネコを探すためのコツ

家から脱走してしまった場合、捜索にはネコちゃん特有の習性を理解しておくことが何より大切です。遠藤さんから伺ったポイントは以下の6つ。

行動は夜間が中心

「普段は人間の生活に合わせて暮らしている子でも、外に脱走すると活動が夜型になる子が多いんです。やはり昼間は人やクルマの動きが怖かったりするので。」(遠藤さん)
だからこそ、遠藤さんのようなプロの捜索活動は夜間が中心になるそう。飼い主が探すには仕事の関係などで辛い時間帯ではありますが、夜間捜索は必要のようです。

室内ネコの場合、意外に家の近くに潜んでいることが多い

▲クルマの下など、まずは猫が隠れやすいところを見てみましょう
「特に住宅密集地などでは、隠れる場所も多いためにわりと家の近くに潜んでいることが多いです。なので、まずは隣家や近隣の住宅など、身近なところを捜索することが大切です。」(遠藤さん)
ただし、保護猫など野良生活の長かった子などは行動半径が広めになる傾向があるとか。どういうキャリアをもった猫なのかも留意する必要があるのですね。

猫目線で、隠れやすいところを探す

▲「こんなところ、入れないよ」と思うところも、猫は案外スルリと入っていけるもの。歩きながらいろいろなところを探してみましょう
「我々プロは、とにかく歩いて探します。それは自転車やクルマだと気がつきにくい“猫目線”で探すことが大切だからです。」(遠藤さん)
雨風を防げる家の軒下や、塀と家の隙間。三方ふさがった狭いスペースなど、「人だけではなく他の猫にも見つかりにくい場所」がポイントです。

家の周囲に、使用済みの猫砂をまく

▲猫が好きだったエサも効果的。においは強めのものがいいそうです
「ネコちゃんにとって、自分の排泄物の匂いはとても安心できる香りです。使用していたトイレの猫砂を家の周囲にまいておくと、戻ってきやすくなります。」(遠藤さん)
ただし、近所に野良猫が多い場合などは、その匂いで集まってきたりマーキングをしてしまって戻りにくくなることも。環境に応じて使うようにしましょう。

名前を呼ぶときは、落ち着いた優しい声で

▲飼い主さんの優しい声に反応する猫もいます。遠藤さんは飼い主さんの声を録音して探すこともあります
「普段は名前によく反応する子でも、脱走中はナーバスになっていますから、できるだけのんびりとした優しい声で呼んであげるようにしてください。」(遠藤さん)
必死になるあまり緊迫した声になってしまうと、たとえ飼い主の声でも警戒してしまうことが多いそう。

ちらしやポスター、SNSでの呼びかけは有効

「目撃情報は捜索にとって決め手にもなる大切なもの。早い時期に積極的に活用することをおすすめします。簡潔に情報、特に見た目がよく分かる画像が入っていることが重要です。」(遠藤さん)
ここで一番大切なのは猫ちゃんの画像。顔だけではなく全身が分かるもの、逃げたときに装着している首輪の色や形などが分かる画像であること。いざというときのために、そういった最新の写真はいつも用意しておくとよさそうですね。
▲ジャパンロストペットレスキューで使用している捜索用の聞き取りシート。名前や年齢、身体的特徴だけでなく、他人に対する性格や反応、野良猫だった経験があるかなどキャリアに関すること、「マタタビに反応するか?」など嗜好に関する質問など40項目以上にも及びます。
▲プロの捜索用ツールの一部。側溝などを覗くファイバースコープや、動体検知カメラ、捕獲器、ルーペ、双眼鏡などのほか、捜索時は猫を呼び寄せるためのマタタビや安全に輸送するための洗濯ネットなども用意するそうです。まさに7つ道具!
どうしても見つからない場合、また仕事の関係などで捜索に専念できない場合などは、プロの力を借りることも選択肢のひとつ。
「依頼を受けた場合は、それまで飼い主さんが努力された捜索方法をヒアリングし、違うアプローチで捜索するようにします。また、夜間の捜索や特殊なツールを駆使して捜索・保護を行うこともできます。心配でたまらない飼い主さんの元に少しでも早く大切なペットをお返ししたい、その気持ちで活動を続けていますので、気兼ねなくご相談いただきたいですね。」(遠藤さん)

脱走を防ぐためには、日頃の工夫が大切

▲飼い主さんのちょっとした注意で脱走は防げるはず。それでも猫が逃げてしまい、見つからないときは、ためらわずにプロに捜索を依頼したいですね
一番大切なのは、そもそも脱走をさせないこと。そこで遠藤さんに、そのための生活の工夫についてアドバイスを頂きました。

■玄関や窓、ベランダの出入り口などの開閉は一番の危険タイミング。2重扉などにするのは無理としても、玄関の出入りがあるときにはひとつ手前のリビングの扉などを閉めておくようにしましょう。

■網戸を開けてしまうネコちゃんはとても多い。市販のストッパーなどを利用しましょう。

■最近はハーネスをつけてネコちゃんのお散歩をする方も増えてきています。ですが、犬よりもずっと身体が柔らかい猫は、すり抜けてしまうことも。どうしても使う場合は猫専用に工夫されているハーネスを利用するなど注意が必要です。

脱走は、ほかの猫との喧嘩や交通事故などによる怪我、気候による病気などのリスクもあり、飼い主さんにとっては本当に心配なこと。日頃の生活スタイルなどを工夫して、万が一の危険をできるだけ防ぐようにしたいものですね。