遺体はどのように安置すべきか
動物病院で亡くなるときもありますが、ペットの場合は自宅で最期の時を迎えるケースが多いかと思います。 まず、言葉をかけてあげながらタオルなどでペットの身体を拭いて毛並みを整えてあげましょう。 さらに、目が開いていたらそっと優しく閉じてあげたり、足を胸や身体の方にそっと折り曲げてあげます。これは死後硬直に備えるためです。足が伸びていると棺などに収まらないこともあるのです。季節にもよりますがおおむね死後2~3時間で硬直が訪れます。 次に、木箱や段ボール箱などの棺を用意し、遺体を安置します。 お気に入りだったベッドの上などもよいでしょう。遺体からは体液が染み出してしまうこともありますので、ペットシーツや使い捨てのタオルなどを遺体の下に敷いてあげます。 また、火葬などの前に遺体をどのぐらい自宅に安置しておくのかを考えましょう。何日かはそばに置いておきたい、また、家族全員で見送るために葬儀まで数日の猶予が欲しいというケースもあるかと思います。その場合は、遺体の腐敗を防ぐために喉の下とお腹のところに保冷剤や氷、ドライアイスなどを当て、なるべく室温を下げた部屋に安置しておくようにしましょう。この場合、ドライアイスが一番効果的です。簡単に近所で手に入らないこともありますが、ネット通販などで翌日着などで配達してくれるところもあるようです。 また、葬儀業者によっては火葬まで遺体を預かってくれるところもあります。 安置する場所を整えたら、棺をお花で満たしてあげたり、火葬に備えて家族の写真を入れてあげたり、大好きなおもちゃやおやつを入れてあげて、旅立ちが寂しくないよう、心のこもった弔いをしてあげてください。
自治体による火葬は、市区町村により対応できる内容が異なる
ペットの火葬は自治体に依頼する方法と、民間のペット葬儀業者を利用する方法があります。自治体の窓口は清掃局や衛生局、環境衛生局など市区町村によって異なります。 ひと昔前は、行政に火葬を依頼した場合、「有料ゴミ扱い」として処理されることも少なくありませんでした。 しかし現在では、多くの自治体が動物専用炉で「合同火葬」を行ってくれるようになってきています。ただ、合同ですので遺骨の返却の対応は難しいところがほとんどです。それでも自治体によっては霊安室などを設けたり、個別火葬に対応してくれるところもあるようです。費用は自治体によって違いますが、一般的には数千円程度のところが多いようです。 お住まいの自治体がどういう対応をしてくれるかは、自治体サイトなどで一度調べておくとよいかもしれません。
ペット葬儀業者のサービスもまちまち
個別に心を込めて愛しいペットを送りたいとなると、費用はかかります。それでも自治体よりも専門の葬儀業者を選びたいという人は多いはず。 自宅まで遺体を引き取りにきてくれるところや、自宅で葬儀を行ったあとに火葬場に運んでくれるところ、最近では移動火葬車で、自宅敷地内などで荼毘に付すことができる業者なども登場しています。また、ペットでも人間のようにお坊さんのお経をあげてくれるお寺さんなどもあります。セレモニーの演出もさまざまです。 自分たちが、どのようにお別れをしたいかをよく考え、希望にそった業者を見つけたいものです。 ただ、残念ながら業者のレベルもまちまち。中には「火葬した」と言っておきながら全然別の子の遺骨を渡したり、遺体の取り扱いが乱暴だったりといった報告も少なからずあります。そういう意味では、業者に火葬の方法など詳しく確認をするなど、飼い主としてきちんと見極める努力をしたり、クチコミなどで評判のよいところを選びたいものです。知り合いのペット葬儀などに参列し「いいお式だったな」と感じた葬儀場があれば、そういったところにお願いするのもいいでしょう。 また、火葬後の遺骨をどうするかによって、業者選定もかわってきます。ペット霊園に埋葬する、納骨堂で保管してもらう、手元に置くなど、選択肢は飼い主の考え方次第です。そういった希望に応じて対応可能な業者を選ぶことも大切です。 火葬や葬儀の費用ですが、猫や小型犬で3万円~5万円、大型犬で5万円~8万円、といったところが多いようです。
葬儀が終わったあとも、必要な手続きを
ペットを送り、悲しみでいっぱいのときですが、いくつかの手続きや考えておかなければならないことがあります。たとえば以下のような手続きです。 ■市区町村への届け出 畜犬登録を行うと、鑑札および狂犬病予防注射票が送られてきますよね。こういった情報や告知を止めるために届け出を行った市区町村に死亡届を提出する必要があります。書類で提出するケースが多いですが、最近では電子申請を受け付ける市区町村も増えているようです。 ■ペット保険の解約 解約を行わないと保険料の請求が続いてしまいます。解約の手続きを忘れていないか、確認を忘れずに。 ほか、ペット飼育可の集合住宅などにお住まいの場合は、こちらも連絡が必要なケースがありますので、規約等をよく確認してください。 大切な家族を失ったときの悲しみは、言葉に言い尽くせないほど辛いものです。ですが、時が経って穏やかに思い出せるようになるためにも、最善と思われるお見送りをすることが大切です。常日頃から、家族で話し合っておくことも必要かもしれませんね。