猫は元々体臭が少ない動物である上に、日向ぼっこをしたり、頻繁に毛づくろいを行なうことで体を清潔な状態に保っているため、ニオイが気になることは少ないと言われています。 そんなキレイ好きな猫のニオイが気になる場合は原因を考えてみましょう。考えられる原因としては以下の5つとなります。  ・歯周病  ・皮膚から出る分泌液  ・肛門線の分泌液  ・泌尿器系の病気  ・腸内環境の悪化 上記の原因についてさらに詳しく説明していきます。 またその対処方法についても記載しますので、ニオイ対策にお役立てください。

歯周病

実に多くの猫が歯周病を患っていると言われています。 歯周病により口臭がきつくなり、ニオイが目立ってきた場合は動物病院に連れて行くことをお勧めします。 下記の記事にもあるように歯周病の悪化は、歯をボロボロにするに留まらず、内蔵の病気の原因にもなりかねません。

猫は3歳になるまでの約80%が歯周病を患っていると言われています。

症状が悪化すると、歯根膜、歯槽骨を破壊して、歯がぐらついたり、抜け落ちてしまいます。

また、口腔内の細菌が出す強い毒素が歯茎の血管などに入り込むと、心臓や肝臓、肺や腎臓などの重要な器官へも循環して運ばれていきますので、病気の原因になる事もあります。

対策

対策として、「歯周病になった場合」と「歯周病予防」を以下に記載します。

歯周病になった場合

歯周病になってしまった場合は、歯石を取り除く治療を受けることになります。 人間の歯の治療とは異なり、猫の場合は全身麻酔をして治療していきます。 全身麻酔と聞くと、あまりにも大々的な治療に聞こえてしまい、飼い主の立場だと少し心配になってしまいますよね。 しかし、下記の記事にあるように、この全身麻酔は歯周ポケット内の歯石除去と愛猫がより安全に治療を受けるために必要なことになります。 歯周病の原因となる歯石の確実な除去で、愛猫の健康な歯を取り戻してもらいましょう。

歯周病の治療や予防にあたって、もっとも大切なのは「歯周ポケットのスケーリング」なのです。そして、この歯周ポケットのスケーリングは非常にデリケートな作業のため、ワンちゃんやネコちゃんが動いてしまうと、逆に歯や歯茎を傷つけてしまいます。そのため、より安全に実施するために麻酔をかけての作業が必要になるのです。

歯周病予防

歯周病予防は、人間と同様で日々の【歯磨き】が大切です。 歯ブラシを使って磨くことを嫌がる場合は、徐々に慣らしていきましょう。 歯ブラシを成功させるコツについては、下記を参考にしてみてください。

(1)まずは猫とのミュニケーションの一環として口にタッチすることから始めましょう。毛のブラッシングや頭を撫でるついでに口の周りに触り、触られることに慣れてもらいましょう。

(2)口の周りを触られることに慣れてきたら口の中に手を入れて、歯を触ってみましょう。まずは手前の歯(切歯)、慣れてきたら奥の歯(臼歯)にタッチしてみましょう。

(3)ガーゼを使って歯の表面をそっと磨いてみます。このときガーゼに動物用の味付き歯磨きペーストや、ウェットフードの水分を含ませてもいいです。

ここまでできるようになって初めて歯ブラシを使います。歯ブラシは動物用、もしくは人間の小児用でも大丈夫です。

皮膚から出る分泌液

皮膚からの分泌液が、ニオイの原因になることがあります。

動物の体のニオイは、皮脂腺とアポクリン汗腺からの分泌物が微生物によって分解され、ニオイの強い分解物が作られるために発生します。

上記のように猫の皮膚からも分泌液は出されていても、定期的な毛づくろいで体を舐めているため、ニオイが洗い流されて臭くなりにくいのです。 しかし、年老いた猫や太った猫など毛づくろいをあまりしない猫や、病気やケガによって毛づくろいができない猫の場合は、体臭が強くなると言われています。

対策

年老いた猫や太った猫など毛づくろいをあまりしない猫の場合は、飼い主がこまめに手入れしてあげましょう。また、病気やケガをしている場合も、愛猫が嫌がらないようならこまめに手入れをしてあげることが良いでしょう。 急に体臭が強くなり、原因が分からない場合は、動物病院で診察を受けることをオススメします。

肛門線の分泌液

肛門線に分泌液が溜まっている場合に臭うことがあります。 この分泌液は排便の時に一緒に排出されることがほとんどですが、年老いた猫は肛門線に分泌液が溜まりやすくなってしまいます。

対策

肛門線に分泌液が溜まった場合は、肛門線を絞ってあげる必要があります。 肛門線絞りの動画を下記に載せておきますので参考にしてみてください。 猫が嫌がる場合など自宅で行なうのが難しい場合は、動物病院でやってもらいましょう。

現実問題として、肛門腺絞りはネコにとってかなり苦痛のようです。
私は動物病院で1年に1~2度、診察のついでに絞ってもらいますが、ネコはかなりいやがって、スゴイ声で鳴き(泣き)ます。
絞り方にはちょっとコツがいるようです。手に付くとなかなか落ちない臭さです。

泌尿器系の病気

猫の尿は濃度が高く、大量のたんぱく質を含んでいます。 下記の記事にあるように、尿に含まれているタンパク質の一種である「フェリニン」が猫のおしっこが臭い要因と言われています。

猫の尿中にだけ存在する「フェリニン」という特異な物質が、猫のオシッコをとりわけ臭くしているいう訳です。

猫のおしっこは臭くて当たり前なのですが、ニオイがきつくなったと感じた場合は、膀胱炎などの泌尿器系の病気の可能性があります。

おしっこがアンモニア臭いというのは、膀胱炎や尿路結石の初期症状としてよくある症状なんです。
おしっこのpHがアルカリ性に傾くことで、膀胱内でアンモニアが発生しちゃいます。

本来、正常であればアンモニアは肝臓内で尿素に変わっています。
でもおしっこがアルカリ性に傾いていると尿素が膀胱でアンモニアに変わります。
なのでしたばかりのおしっこがアンモニア臭くなります。

対策

上記のように愛猫のおしっこのニオイが臭くなったと感じた場合は、動物病院で診察を受けたほうが良いでしょう。 また、猫はキレイ好きということもあり、トイレがキレイではない場合に我慢してしまうことがあります。トイレを我慢することで泌尿器系の病気にかかりやすくなってしまうため、愛猫のためにもトイレはいつも清潔に保つように掃除を心がけましょう。

腸内環境の悪化

腸内環境が悪化により、排便のニオイが強くなってしまいます。

便臭は、腸内細菌のうち善玉菌が減少し、悪玉菌が増える事で腸の働きが鈍くなり、未消化の食物を悪玉菌が分解して悪臭の原因物質(有害物質)を作り出す事が原因です。

対策

腸内環境を整えるために、消化のいい良質なキャットフードに変えてみることをオススメします。 また消臭効果のあるシャンピニオンエキスや緑茶エキスが配合されているフードを試してみるものよいかもしれません。

猫にとって消化の悪いキャットフードとは、トウモロコシなどの植物性たんぱく質を第一原料としたものなどです。市販のものの多くに該当するため、知らずに買ってしまった人もいるでしょう。

逆に消化がいいのは、チキンなどの肉を第一原料としたキャットフードです。消化をしっかり行っていれば、それによって悪い臭いが発生させられることがなくなるので、臭いの発生を抑えることが可能となります。

まとめ

猫の体臭について、原因と思われる事項とその対策をまとめてみました。 愛猫の健康状態や病気のサインを体臭から読み取るためにお役立ていただけたらと思います。