より飼い主としての準備が大切に

ペットの避難については、国や自治体も徐々にではありますが、サポート体制を強化してきています。
東日本大震災の経験をふまえ2013年に「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」が環境省によって策定され、2018年、「人とペットの災害対策ガイドライン」として改訂されました。(注1)
これを受けて、各自治体でもペットの避難についてガイドラインを明示しているケースが増えましたので、一度自分の居住する自治体のサイトを調べておくとよいでしょう。
飼い主として心に留めておくべきなのは、改訂のポイントとして「ペットを救済する」ということから、「災害時でも飼い主がペットを適切に飼育することを支援する」という方向に修正されているということ。
つまり、より飼い主自身の日頃の準備や災害時の行動への責任が求められることになります。
それでは、具体的にどんな準備をしておくべきか、考えてみましょう。

※(注1)環境省のホームページからダウンロードできます

ペット用の防災グッズを準備しておこう

災害の備えとして、人間用の防災グッズや避難セットなどを常備しているご家庭も多いかと思います。同じようにペットにはペット用の防災グッズを用意しておき、バックパックなどにまとめておくとよいでしょう。

■食べ慣れたフードと水、食器
最低でも5日分ぐらいのフードと水を用意をしておきましょう。人間の食料さえ不足してしまうような状況になると、ペット用の食料を調達するのはかなり難しくなります。飼い主の責任として準備しておくべきです。
日頃、手作り食などを与えている場合でも、災害時にはフードが食べられないととても困ります。ときどきフードをまぜてあげたりして、慣れさせておくとよいでしょう。
また、フードには賞味期限がありますので、定期的に新しいものと取り替えておくことも忘れずに。
食器は、アウトドアグッズやお散歩用の折りたためるタイプのものなどを準備しておくとコンパクトに帯同できて便利です。

■生活用品
ワンちゃんならトイレシーツやウンチ袋、猫砂でないと排泄できないネコちゃんなら、1袋分ぐらいの猫砂、ほかにはウェットシートやブラシ、予備のカラーやリードも1セット用意しておきましょう。
日頃リードをつけないネコちゃんも、災害時は興奮したり迷子になったりしがちなので、準備しておくと安心です。

■健康管理グッズ
人間用と共有でかまいませんので、バンテージや消毒薬など、最低限の応急処置グッズをまとめておきましょう。また、ペットの常備薬なども日頃から小分けして防災セットに入れておくこと。ペット保険に加入している場合は保険証のコピーなども入れておくと便利です。

■あると便利なグッズ
災害救助犬の活動動画などを見ていると、災害現場で肉球を傷つけないために犬用の靴を履いている姿をよく見かけます。ご家庭のペットでも、もしものときのために、準備しておくとよいかもしれませんね。
また、水をよく吸い取りすぐに乾く給水タオルなども、雨や汚れのふきとりなどに便利です。
防災グッズとしては荷物になってしまいますが、ペットが気に入っているタオルや敷物などもあると、神経質なネコちゃんなどのための安心できる寝床になります。

迷子対策も忘れずに

考えたくないことですが、もし突然の災害でペットと離れ離れになってしまったり、驚いたペットが逃げ出してしまったりすると取り返しがつかなくなることも。いざというときのために、ペットの名前と飼い主の連絡先(携帯)が書かれた迷子札を首輪に装着しておきましょう。
日頃、家では首輪をつけていないペットでも万が一のことを考えて、お留守番のときなどには迷子札をつけた首輪をしておく、という飼い主さんも多いのです。
マイクロチップも施しておくにこしたことはありませんが、専用の読み取り機が必要なマイクロチップはマッチングに時間のかかることも少なくありません。誰にでも読み取れる迷子札は、必ず準備・装着しておくべきです。
また、ペットの身体的特徴と顔がよく分かる写真も準備しておきましょう。スマホなどに保存しておいてもいいのですが、スマホ自体を紛失してしまう可能性も考えて、プリントしたものを防災セットに入れておくと、より安心です。

もしもの避難生活では、日頃のしつけの重要性が問われる

近年ではペットを同伴する避難への理解も深まり、各自治体でもペット可の避難所や避難スペースなどを設置してくれるケースが増えてきました。
それでも、避難所では家と同じようにペットと過ごすことはとても難しいのは当然です。また、同伴できるとしても、各自治体の対応によって過ごし方の条件はさまざまなのが現状。
いざというときに、飼い主とペットにとって少しでもストレスにならないために、日頃から以下のようなしつけや準備をしたいものです。

■ケージやクレートに慣れさせる
ケージに入れることが条件になるケースに備えて、日頃から慣れさせておくことが大切です。ストレスのないように、おもちゃやおやつなどを使って「ケージに入ると安心」というトレーニングをしておきましょう。

■日頃から他人やほかの動物に慣れさせておく
ペットにとって、他人と一緒にいることは人間以上にストレスになりがちです。おびえたり、食欲を失ったり、不眠になったり、むやみに吠えたりと健康上でも心配な状況になってしまわないよう、日常から他人や他のペットに慣れるような機会を作っておくようにしたいもの。

■基本的なしつけを充分に
「決められた場所で静かに待てる」「名前を呼んだら来る」というしつけは、災害時などでとても大切になってきます。これは、避難所生活などでの他人とのトラブルを予防するだけではなく、避難時にペットを安全に導くことにもつながるのです。
ワンちゃんの場合は、おすわりやマテなどのコマンドによる基本的なしつけを日常からきちんと入れておくこと、ネコちゃんなどはペット用ケージでおとなしく過ごせるための工夫を日頃から心がけましょう。

災害のための準備は、考えれば考えるほど多岐にわたります。
ペットの安全と健康を守るために、家族でぜひ話し合って備えをしておきたいものです。