猫の肥満は病気を呼ぶ 注意したい病気と正しい肥満解消法

1.猫の肥満は体重より体型で判断 手で分かる肥満度チェック


猫の適正体重は品種、性別、年齢、個体差など様々なものが影響するため、一般的な理想体重との比較だけで肥満を判断するのは難しいものです。


猫は、成長を終えたばかりの生後8か月~1才ごろの姿が理想体型といわれており、その猫の肥満を測る基準となります。


猫の肥満度診断には、見た目と手の感触で調べる「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」と呼ばれる方法があり、下記にその基準をまとめましたので、試してみましょう。


①.理想的な状態(体脂肪率15~25%)


  • 優しく胸に触れたとき肋骨を数えることができる
  • お腹にごく薄い脂肪を感じる
  • 腰にわずかなくびれがある

②.太り気味(体脂肪率25~34%)


  • 胸が脂肪に覆われ、肋骨に触れるのが難しい
  • お腹に丸みがあり、厚い脂肪を感じる
  • 腰のくびれがほとんどない

③.肥満(体脂肪率35%以上)


  • 胸が厚い脂肪に覆われ、肋骨を全く感じられない
  • お腹に丸みがあり、非常に厚い脂肪を感じる
  • 腰のくびれが全くない

BCSは肥満を判断する方法のひとつに過ぎず、必ずしも正確な分類ができるわけではありません。特に、もともと体が大きい猫や長毛種は判断が付きにくいため、正確に把握したいときは動物病院で相談しましょう。


 

2.肥満の猫が注意したい病気


肥満の猫はさまざまな病気の発症率が高く、寿命も短いことが分かっています。肥満気味と感じる際は、以下の病気には特に注意しましょう。


病気①.関節や靱帯の病気


体重増加によって関節や靱帯、背骨への負担が増えると、関節炎、変形性脊椎症などのリスクが高まります。


病気②.糖尿病


肥満によりインスリンの分泌機能や作用が低下すると、ブドウ糖をうまく吸収できなくなり、細胞がエネルギー不足の状態に陥ります。


元気がない、水を過度に飲む、おしっこの量が増えた、よく食べているのに痩せたなどの症状は糖尿病の可能性があります。


病気③.脂肪肝(肝リピドーシス)


肝リピドーシスは肝細胞内に著しく畜種する障害であり、肥満の猫が食欲不振になった際に起こりやすいとされています。


元気がない、食欲の低下、嘔吐、黄疸などの症状があらわれるため、意識するようにしましょう。


病気④.呼吸器疾患


首の周りに脂肪がつくと、気道が圧迫されて呼吸がしづらくなります。少しの動きで荒い呼吸をする、いびきをかく場合は注意が必要です。


病気⑤.心疾患


心臓は本来、適正体重の体に血液を送り出すようにできているため、肥満体になると心臓への負担が大きくなります。


他にも、皮膚病、尿路疾患、口内炎など肥満によって発症リスクが高まる病気はたくさんあります。愛猫の健康を守るために、肥満は十分に注意しなければいけません。

 

3.健康的に肥満を解消するポイント


猫のダイエットは獣医師に相談のうえ、食事制限を行うのが基本です。


ここでは、健康的にダイエットをするために知っておきたいポイントを解説します。


ポイント①.ダイエットは時間をかけて行う


猫のダイエットは、獣医師の指示に従い、長い目でみて取り組むことが大切です。


ダイエットのためとはいえ、極端な減量はかえって愛猫の体に負担がかかり、ストレスや栄養不足、脂肪肝などを起こす可能性があります。


猫の減量目標は「週1%減」に設定しましょう。


ポイント②.年齢や健康状態に配慮する


食事をダイエット用に切り替える場合は、猫の年齢や健康状態にも配慮しましょう。


7歳以上のシニアや去勢・避妊後の猫は活動量や代謝が低下するため、必要なカロリーや栄養素は猫の状況によって異なります。


また、単純に食事の量を減らすだけでは栄養不足に陥る可能性もあり、食事の量の調整は慎重に行いましょう。


ポイント③.食事・おやつの与え方は家族で共有する


猫の肥満は、食事やおやつの食べすぎが原因であることがほとんどです。家族の誰かがおやつなどを与えているケースもよくみられます。


猫のダイエットは家族全員で情報を共有し、猫に与える食べ物の量をしっかりと管理しましょう。


ポイント④.多頭飼いは他猫の食事も管理する


猫を複数飼っている場合は、他の猫の食事も一緒に管理しましょう。


他猫の食事を食べられる環境では、適切な食事管理はできません。場所を分ける、他猫の食べ残しはすぐに下げるなどの工夫が必要です。


ポイント⑤.運動できる環境や習慣を作る


心臓や関節などに不安がない場合は、運動量を増やす工夫も有効です。ダイエットのストレス軽減も期待できます。


キャットタワーの設置、爪とぎやトイレの場所を離すなど自然と動く環境作りのほか、1日5分程度、ジャンプや上下運動などができる遊びの習慣を作りましょう。

 

4.肥満の猫はペット保険で備えると安心


肥満の猫は、早めにペット保険に加入して傷病に備えましょう。


重篤な病気になった後や治療中の傷病があると、保険の加入が難しくなることがあります。愛猫が健康なうちに検討するのがおすすめです。


また、ペット保険の中には獣医に無料で電話相談ができる特典などもあり、肥満猫との生活に大きく役立ちます。ぜひ上手に活用したいですね。

 

5.まとめ


猫の肥満は様々な病気のリスクを高め、寿命が短くなるというデータもあります。愛猫の肥満度合や罹りやすい病気を把握し、健康管理に努めましょう。


ダイエットで重要なポイントは、適切な食事管理と運動、時間をかけて健康状態に配慮しながら行うことです。愛猫がいつまでも健やかに過ごせるように頑張りましょう。