近所迷惑だけじゃない猫の外飼いに潜む危険とは

1.猫を近所迷惑だと感じている人は63.5%


2017年に実施された東京都福祉保健局の調査によると、今まで猫を迷惑だと感じた経験がある人が63.5%にのぼっています。同調査で、特に次の行為を迷惑だと感じていることがわかりました。


1位:糞 74.2%

2位:尿 49.2%

3位:鳴き声 35.1%

4位:庭・ゴミ荒らし 33.7%

5位:悪臭 22.2%


室内で暮らしていても鳴き声や悪臭には気をつける必要がありますが、屋外での猫の行為と思われる項目が上位に集中しています。


猫に対して、近づきたくない・害獣と感じる人は少なからずおり、愛猫を屋外に出している飼い主は、そういった意見を踏まえて猫の近所トラブルに対策を打つ必要があります。


 

2.外飼いが招く猫の病気やケガ


外を歩く猫は飼い主が明確でないため、独自に猫除けの対策をする方もいます。しかし、猫除けの中には、中毒やケガにつながるものもあります。

また、屋外では他の猫との接触が増えるため、感染症にかかる恐れもあります。


ここでは、猫除け対策が招く中毒やケガ、感染症の危険性について見ていきましょう。


①.中毒


敷地内に猫が侵入するのを防ぐために、タバコの吸殻水や漂白剤、防虫剤などを猫除けとして推奨している自治体もありますが、これらが猫の口に入ると命に関わる中毒を引き起こす恐れがあります。


外から帰ってきた猫が激しい嘔吐や下痢、けいれん、食欲不振などの症状を見せたら、早急に動物病院へ連れて行きましょう。


②.ケガ


残念ながら、通り道に鋭利な物を設置する、水鉄砲やエアガンなどで攻撃する、ほうきなどで追い払うといった動物虐待になりかねない対応をされる場合もあり、ケガを負う可能性もあります。


愛猫の帰宅時は体をよく確認し、見た目に問題がなくても元気や食欲の有無、動きの変化にも注意し、異常があれば早めに受診が必要です。


③.感染症


猫同士の感染症は数多くありますが、その多くは感染した猫の唾液や涙、尿や糞便などに含まれたウィルスが、口や鼻から入ることで感染します。


外に出た猫の場合、他の猫とのケンカでかみついたり、じゃれて舐めあったりすることで猫エイズや猫白血病ウィルスに感染するリスクが高まるのです。


その他にも、猫カリシウィルスや猫クラミジアなど空気感染する病気がうつる可能性があるため、猫が外を出歩く場合は定期的に健康診断を受けることをおすすめします。


 

3.近所迷惑や外飼いのリスクに備えるために


屋外で起こる中毒やケガ、感染症のリスクを抑止するには室内飼いへの切り替えが一番ですが、どうしても外に出たがるなど難しい場合には、次の4つの対策を行い、愛猫を危険から守りましょう。


①.ワクチン接種


猫の感染症は予防接種で防げるものもあるため、危険の多い屋外で暮らす猫がワクチン接種により病気を未然に防ぐことは必須といえます。愛猫の健康を守るためにも、元気なうちに欠かさず接種するようにしましょう。


②.避妊去勢手術


避妊去勢手術には、性ホルモンに関する病気を予防し、発情期の鳴き声やマーキングを減らす効果があります。さらに、意志に反した妊娠を避けられるため、不幸な子猫を減らすこともできます。


近所への迷惑行為を抑えるためにも必ず行っておきたい対策のひとつです。


③.定期的な健康診断


外飼い猫は、飼い主が気付かないうちに病気やケガをする可能性があるため、定期的に健康診断につれていくことをおすすめします。


繰り返しになりますが、屋外で暮らす猫は室内にいるより多くのリスクを背負っています。健康診断に加え、主治医への相談や受診など、気になる症状があればすぐに対策するようにしましょう。


④.ペット保険に加入する


ペット保険は将来の備えとして多くの猫におすすめですが、病気やケガのリスクが高い外に出る猫には特に必要かもしれません。


大きな病気は医療費がかさむ場合が多いですが、治療中に加入できるペット保険はほとんどありません。愛猫が必要とする治療に備えてペット保険は 早めに検討しておきましょう。


 

4.まとめ


猫の排泄行為や鳴き声、庭・ゴミ荒らしに迷惑している方も多く、猫除け対策で猫に有害な薬物や障害物を設置している世帯も少なくありません。


猫除け対策や他の猫との接触により、中毒やケガ、感染症にかかる可能性があるため、愛猫は外に出さず室内で一緒に暮らすことがおすすめです。


どうしても室内飼いへの切り替えが難しいときには、ワクチン接種、避妊去勢手術、定期的な健康診断、ペット保険の加入といった、猫を危険から守る対策をしっかりと行いましょう。