犬の補償内容は病歴で変わることも!病歴の考え方と向き合い方

1.犬を迎える時は病歴確認から


ペット保険は、治療中や経過観察中の傷病に加え、保険会社が指定する重大な病気に罹患したことがあると、保険に加入できません。保険に限らず今後の健康管理にも役立てるために、犬を家族に迎え入れる際は、まず病歴を確認しましょう。


ペットショップから迎え入れる場合は、病歴が明らかになりますが、NPO法人の里親募集や友人から譲り受けたときは、病歴が分からないケースもあります。


その場合は、元気そうだから大丈夫という自己判断はせずに、患っていた形跡や、現在の疾患がないかなど、専門医に診断してもらうようにしてください。


 

2.犬の診察歴は細かく記載


病気やケガで治療を受けている(受けていた)場合、保険会社へ申告する必要があります。


告知義務のある傷病は、完治の有無や時期に関わらず申告しなければいけませんが、告知義務のない傷病は4~5か月以上前に完治していると、記載する必要はありません。


しかし、完治が3~4ヶ月以内だった場合は、告知義務のない傷病であっても申告することが義務付けられています。飼い主が、申告するまでもないと思う小さな傷などであっても、医師に「病気・ケガ」として診断された場合は、立派な病歴となります。


報告義務が生じる時期や病歴の記載方法は保険会社によって違いますので、申込みの際は資料をよく読んで正確に申告してください。


 

3.犬の病歴を増やさない心がけ


保険への影響もありますが、なにより愛犬のために病気には注意したいものです。


犬の病歴を増やさないために、飼い主ができることをご紹介します。


①.予防処置を行う


病歴を増やさないための鉄則は、定期的な予防処置を欠かさないことです。


フィラリア症は、心臓や肺動脈に寄生する寄生虫(フィラリア)が、蚊の媒介によって感染し、様々な症状を引き起こす病気です。


伝染病の混合ワクチンも、義務付けられている狂犬病ワクチンと合わせて、1年に1回定期的に行い、予防できる感染症のリスクを減らしましょう。


②.定期的な健康診断


最低でも年に1回の健康診断を心がけましょう。犬の病気の早期発見は、人間以上にまめに健康状態を把握する必要があります。


犬は我慢強い生き物で、よほど体調が悪くなるまで痛みを我慢してしまう傾向があり、発見時にはもう手遅れということもあり得ます。年1回以上の健康診断を欠かさないようにしましょう。


③.早めの保険加入を検討


年齢にかかわらず、早めの保険加入も飼い主ができることの一つです。


保険は高齢になってからで良いという考えもあるかもしれませんが、加入前に特定の疾病(加入不可になる傷病など)にかかると、快方しても保険に入れません。加入は可能でも、関連する傷病も含め補償対象外となるような、条件付き加入になるケースもあるため、愛犬の今後を考えるならば早めの加入をおすすめします。


 

4.病歴告知にあると加入が難しい犬の病気


犬が罹りやすく、完治しても保険への加入が難しくなりやすい代表的な病気をご紹介します。


①.免疫介在性溶血性貧血(IMHA)


免疫介在性溶血性貧血(IMHA)とは、自己免疫疾患の一つで、何らかの原因で免疫機能に異常が起こり、本来攻撃してはいけない自分の赤血球を標的として破壊してしまう病気です。


食欲がない、動きたがらない、呼吸速迫、黄疸など貧血による様々な症状を起こし、重篤な急性IMHAは死に至る場合もあります。


②.フィラリア症


フィラリア症は蚊の媒介によって、心臓(右心房)や肺動脈にフィラリアが寄生してしまう病気です。感染すると、犬では血液循環障害を起こし、運動不耐性や咳、肝臓の肥大・腹水・肺動脈塞栓・血尿や貧血・呼吸困難などの症状がみられます。


散歩中に疲れやすくなった、階段を登るのを嫌がるようになった、興奮時や早朝に乾いた咳をする、などの症状が見られたらフィラリア症が疑われます。


③.巨大食道症(食道拡張症)


巨大食道症は、食道全体が弛緩し拡張してしまい、食べ物を胃まで運ぶ収縮運動が上手くできなくなる病気です。急に吐き出す、体重減少、咳などの症状が特徴です。


発症時の年齢と病因により①先天性特発性巨大食道症、②後天性特発性巨大食道症、③続発性巨大食道症に分類されます。特発性巨大食道症は原因が解明されていません。続発性巨大食道症は食道が動くための神経や筋肉に異常があるケースが多く、また慢性の食道炎やその他多くの疾患に伴い二次的に発症します。


④.甲状腺機能低下症


甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの分泌が少なくなり、細胞の代謝がうまくいかなくなる病気です。純血の大型犬種に多いといわれています。


この病気にかかると、毛が薄くなる、むくんだような皮膚になる、皮膚にシワができる、顔つきが変わるといった症状が現れます。


また、他の皮膚病を併発することもあり、治りにくい皮膚病がある時はこの甲状腺機能低下症に罹患しているケースがあります。


 

5.まとめ


犬を家族に迎え入れる時は病歴を第一に確認し、その後は早めに保険加入を検討する、定期的な健康診断や予防接種を欠かさないなど、今後を見据えた行動が重要です。


保険会社への告知の際は、些細に思える病気・ケガなどでも申告が必要な場合があります。判断に困った場合は動物病院の医師などに相談することがおすすめです。


毎日の健康管理とスキンシップを大切にして、愛犬の異変にいち早く気づいてあげられるようにしましょう。