1.病気以外にもある 血液検査が必要な理由
血液検査は幅広い情報を含んでおり、今後の体調管理や治療に役立つ多くの情報を教えてくれます。
血液検査をする理由には様々なものがありますが、以下のような目的で行われることが多いようです。
- 可能性も含めた病気の有無
- 特定の内臓の状態
- 手術時などに出血を止める力があるか
- ホルモンの状態
- ウイルスなど感染症の検査
- 薬の効果判定や副作用
- 点滴、薬剤の検討
- 輸血のための適合判定
- そのほか緊急性の判断材料など
現在の体の状況を把握することはもちろん、今後体調を崩した時に適切な処置を受けられるように、必要な情報を入手するという役割もあるのです。
2.犬や猫が血液検査を受けるタイミング
血液検査はどのようなタイミングで受けたら良いのでしょうか。
犬と猫が血液検査を受けるのに適切なタイミングを確認していきましょう。
① 健康な犬の場合
6歳までは年に1回、7歳以上は年に2回、11歳以上は年に3~4回受けることが理想的です。
小・中型犬の6歳は人間の40歳、大型犬の6歳は人間の47歳に該当すると言われています。人間でも40歳を超えると病気にかかるリスクが高くなることから、6歳がひとつの目安となることがわかります。
血液検査を受けるタイミングは、1年に1回のフィラリア検査と一緒に行うことがおすすめです。
フィラリア検査で血液を採取する場合、それを血液検査として同時に行うことができます。愛犬が痛い思いをする回数を減らし、コストも抑えられるというメリットがあります。
② 健康な猫の場合
比較的若い7歳までは年に1回、毎年のワクチン接種と同時に受けると良いとされています。
8歳以上になると年に2回、血液検査を受けることが推奨されていますが、高齢になると病気のリスクも高まるため、ホームドクターと相談しながらペットの健康状態に合わせて頻度や検査内容を追加すると良いでしょう。
③ 病気の症状が出ている場合
ペットの不調の原因が明確でない場合、病気を絞り込むために血液検査を打診されることがあります。
血液検査は、病気を特定するだけでなく、早期に原因を把握して、不要な検査や治療の長期化を防ぐ役割もあり、獣医師が勧める場合は受けることをおすすめします。
また、飼い主が血液検査の内容を理解することで、治療内容に納得できるという利点もあります。
3.血液検査結果のチェックポイント
血液検査結果には見慣れない文字や数字が並んでいますが、検査表の見方はシンプルです。
多くの検査結果表には正常値が合わせて記載されています。その正常値と比べた時の高低差で結果を見ていきます。
それでは、病気に関わる項目を確認していきましょう。
注意したい項目と病気【数値が高い】
- GLU(グルコース・血糖値)
└糖尿病、膵炎、クッシングなど - Cre(クレアチニン)、BUN(尿素窒素)
└腎機能障害 - GPT(ALT)、GOT(AST)
└肝機能障害 - GGT、ALP
└胆道系疾患 - TP(ALB)
└脱水、感染症 - WBC
└感染、腫瘍
注意したい項目と病気【数値が低い】
- TP、ALB
└肝疾患、低蛋白血症、腫瘍 - RBC(赤血球)Hb(ヘモグロビン)、PCV
└貧血 - WBC(白血球)
└ウイルス感染症、毒物性 - 血小板
└血小板減少症
ペットにも個体差があるため、検査結果の基準になる正常値は、どの犬、どの猫にも当てはまる完璧な値ではありません。小さい頃から定期的に検査を受け、愛犬や愛猫の特徴を把握しておくことが重要です。
4.愛犬・愛猫のために飼い主ができること
愛犬、愛猫の健康維持のためには、予防対策だけでなく病気への備えも欠かせません。
飼い主さんが準備しておきたい備えを2点ご紹介します。
子犬・子猫の頃から健康診断と血液検査を行って記録する
定期的に健康診断・血液検査を受けて自分の愛犬、愛猫の傾向を把握し、日々の健康管理に活かしていきましょう。
その子の健康状態に合わせた食生活、ケアをしてあげることで大病を未然に防ぐことができます。また、体の特徴を把握しておくと、旅行中や引っ越しでいつもと違う動物病院に行ったときに余計な検査を受ける必要もなく、的確な処置を受けることができます。
早期にペット保険に加入しておく
愛犬、愛猫に最善の治療をしてあげられるように、ペット保険に入っておくと安心です。
いまは健康でも、加齢とともにあらゆる病気のリスクは高まります。病気の治療には大きな医療費を伴うことも珍しくないですが、病気にかかってからペット保険を検討しても、治療中の加入は断られることがほとんどです。
愛犬、愛猫が健康なうちにペット保険を検討し、将来に備えておくことが大切です。
5.まとめ
今回は、犬や猫の血液検査の重要性や受けるタイミング、検査結果の見方についてご紹介しました。
検査結果に異常がなくても、加齢とともに病気にかかるリスクは上昇します。ペット保険は病気の治療中に加入できないことが一般的であり、事前に検討することが重要です。
愛犬、愛猫とこれからも幸せに過ごすために、ペットの健康管理と万一の備えをしっかり行っておきましょう。