犬や猫のがん 早期発見・予防できる習慣とは

1.犬や猫のがんの徴候


身体の細胞に異常が発生して増殖をコントロールできなくなると、腫瘍ができます。この腫瘍のうち、転移する可能性がないものを良性腫瘍、転移する可能性があるものは悪性腫瘍、いわゆる「がん」と呼びます。


犬猫のがんの進行速度は非常に早いため、日ごろからペットの様子を観察し、早期発見することが何より大切です。


以下のような症状が現れていないか、常に注意を払いましょう。


【がんの徴候】

  • しこり(できもの、腫瘤)
  • 腫れ
  • 鼻汁
  • 鼻血
  • 元気がない
  • 散歩の途中で座り込む
  • 体重減少
  • 慢性的嘔吐、下痢、便秘(胃や腸のがんなど)
  • なかなか治らない傷や皮膚病(皮膚がん・リンパ腫など)
  • 血尿、尿が出にくい(膀胱がんなど)
  • 極端な性格の変化(脳腫瘍など)

 

2.がんになりやすい犬や猫


がんは、環境や遺伝的要因などさまざまな原因が考えられますが、中高齢での発症が多くみられます。また、なりやすい犬種猫種が存在します。


一般的に、がんになりやすい犬猫には以下のような傾向がみられます。


傾向①.高齢の犬や猫


人間と同様に犬や猫も高齢になるほど、がんになるリスクが高まります。これは、年齢を重ねることによって免疫力が低下し、がん細胞の発見・攻撃・排除が難しくなるからです。


7歳以上になったら年に1回の定期検診を2回に増やすなど、加齢による病気のリスクを減らす工夫が必要です。


傾向②.肥満


肥満は生活習慣病に直結すると考えられがちですが、がんの原因となることもあります。


食生活の乱れ、ホルモンバランスの異常、臓器負担の増大など、肥満はがんの成長を助長する恐れがあるのです。


傾向③.ストレスが多い


ストレスによる免疫力低下も、がんの一因とされています。


ストレスを受けて免疫機能が弱まると、がんの増殖を抑えきれなくなり、がん細胞を成長させてしまうことが考えられます。


傾向④.化学薬品に触れることがある


がんの原因とされる汚染物質のなかには、殺虫剤、除草剤などの化学薬品や、タバコの受動喫煙が含まれます。


これらの汚染物質との接触機会が増えると、がんの発生率が上がる可能性があります。喫煙の習慣がある飼い主の方は、喫煙時の隔離や触れる前の手洗いなどを徹底しましょう。


傾向⑤.なりやすい犬種、猫種


がんは、すべての犬種、猫種で罹患する恐れがありますが、遺伝的要素も大きく影響すると言われており、先天的にがんになりやすい種類が存在します。


犬ではゴールデン・レトリーバー、シェルディー、マルチーズ、シーズーなどの罹患率が高く、猫では白猫は口腔内腫瘍、黒猫はメラノーマからの皮膚がんが多いとされています。


 

3.がんを早期発見するための習慣


多くのペットが発症するがんは、完全に避けることは難しいものです。しかし、早い段階の治療によって回復できるケースは少なくありません。


そこで、早期発見のための4つの習慣をご紹介します。


習慣①.定期健診を受ける


年に1回は定期検診を受ける習慣をつけましょう。がんは加齢に伴ってリスクが高まるため、8歳を超えたら年に2回の受診をおすすめします。


犬や猫のがん細胞の倍加速度はとても早く、人間が30日程度なのに対して、2~7日といわれています。目立つ症状が出たころには手遅れという事も珍しくありません。


がんの進行を防ぐためには、定期健診がとても重要です。


習慣②.毎日体に触れる習慣をつける


病院では興奮してじっくり触れないこともあるため、ご自宅でリラックスしている時にしっかり触って観察することが大切です。


毎日身体に触れることで、リンパ節や皮膚、体の表面の小さなできものも、発見しやすくなります。ペットの身体に気になる点はないか、痛がる箇所はないか、スキンシップを取りながら確認しましょう。


習慣③.口の中と肛門周り、耳の内側も観察する


口腔内や肛門周り、耳の内側のがんは、早期発見が難しく、発症しやすい箇所と言われています。


多くのペットは病院で緊張するため、口腔内、肛門周囲(肛門嚢や精巣)、耳の内側などデリケートな箇所の詳しい観察は難しいとされています。お家でゆっくりしているときに注意して見てあげましょう。


習慣④.鼻血が出たらすぐ受診


犬や猫はめったに鼻血が出ることはありません。1度でも鼻血が出たら鼻腔内腫瘍の可能性があるため、すぐ受診しましょう。


また、くしゃみにも要注意です。鼻炎で出ることもありますが、長期的に続く、鮮血が出るなどの症状が見られた場合は、受診をおすすめします。


 

4.犬や猫のがんのリスクを下げる


がんのリスクを下げる方法について、いくつかご紹介します。


予防法①.肥満にしない


ペットの肥満は、がんの原因になるため注意が必要です。


しっかりした食事管理と、日常的に運動をさせるように心がけてください。


予防法②.人間の食べ物を与えない


人間と犬、猫は、それぞれ必要とする栄養素が違うため、必ずペットの種類や健康状態に合わせたペット用の食事を与えるようにしましょう。


特に、多価不飽和脂肪酸(EPA、DHA)と呼ばれる栄養素は、ペットのがん予防に役立つと言われています。


予防法③.化学薬品を避ける


がんの原因となる化学物質との接触を減らすことが大切です。


がんの原因物質は殺虫剤や除草剤などの化学薬品だけでなく、古い建物のアスベストやタバコの煙など、身近に存在しています。できるだけペットに目を配り、危険物はしっかり管理しましょう。


予防法④.去勢、避妊手術をする


雄の精巣がん・前立腺がん、雌の卵巣がん・乳がんは、去勢・避妊手術によって高い確率で防ぐことができるとされています。


例えば、避妊していない雌犬の乳がん発生率は、避妊している雌犬の7倍とも言われています。


去勢・避妊手術は早い時期に実施すると、よりリスクが低減できます。かかりつけ医と相談して早急に対応しましょう。


予防法⑤.がんになる前にペット保険に加入する


がん治療は、手術や長期にわたる通院や投薬など、高い医療費がかかります。


がんの進行状態などにもよりますが、手術では1万~数十万円、抗がん剤は1回2~3万円、放射線は1回1~5万円(全20回程)程度かかると言われています。


がんは犬猫の死因トップであり、罹患する可能性が非常に高い病気です。ペット保険で医療費に備えておけば、将来、大きな助けとなるでしょう。


また、ペット保険は、治療中の傷病があると加入できないことが一般的です。ペットが病気になる前に早めに検討しましょう。


 

5.まとめ


犬や猫のがんは常に死因のトップにあげられる病気です。ペットのがんは非常に進行が早く、早期発見・早期治療がとても重要です。


がんの症状やなりやすい条件を把握し、健康管理と早期発見できる習慣作りに努めましょう。


また、将来の医療費に備えて早めにペット保険に加入することも大切です。

 

【参考】
https://gan-senshiniryo.jp/experience/post_644
http://www.pet-hospital.org/detail/aisatsu/gan-syuyou.php
http://www.matsuzakidobutsubyoin.com/tumor/
https://www.vetmed.hokudai.ac.jp/VMTH/content/files/disease/HUVTH-6.pdf