自転車通学の安全対策~#03安全な乗り方と通学ルール~

自転車の正しい発進の仕方

まず最初にご紹介するのは、自転車の正しい発進方法です。 一番大切なことは周囲の交通状況を見極めるため、自転車を発進させる前(できれば停止する前も)に後ろを振り返って、安全を確認することです。 また、中高生に限らず自転車に乗る人の多くが、片足をペダルに載せ、もう片足で地面を何度か蹴りながら自転車を発進させていることでしょう。いわゆる〝ケンケン乗り〟です。この乗り方は自転車にまたがってペダルをこぎ始めるまでは自転車がふらつきがちで、後方からオートバイや自動車が近づいてきたとき接触する恐れがあります。 そこで今回は、意外と知られていない自転車の正しい乗り方を順番にご説明します。 ①発進する前に、まず後方を確認する ②サドルに腰掛けないで自転車のフレームをまたぎ、片足をペダルに載せます。 ③ペダルを踏み下ろしながらもう片方の足で地面を蹴ります。そうするとすぐにスピードが上がって自転車はふらつきません。 ④踏み下ろした足と両手を支えにヒザとヒジを伸ばせば、お尻は自然とサドルに収まります。 停止するときはその逆です。 ①ブレーキをかけてスピードが落ちたら、ペダルから離した片足を前に伸ばします。 ②お尻を前にずらしながらペダルから離した足を地面に下ろします。 ③しっかり止まったら、もう片足も地面に着きます。

発進する前に、まず後方を確認する
ペダルを踏み下ろしながらもう片足で地面を蹴る
踏み下ろした足と両手を支えにヒザとヒジを伸ばせばお尻は自然とサドルに収まる

自転車のブレーキの正しいかけ方

問題となっている「ながらスマホ」のような、携帯電話を操作しながら自転車に乗る片手運転……などというのは論外ですが、両手でハンドルを握っている場合でも、片方のブレーキしか利用していない人はいるのではないでしょうか。ブレーキは前後いっしょにかけることで必要な制動力が得られるよう作られています。ですから特に雨天の場合など、片方のブレーキだけでは自転車が思うように止まってくれません。 だからといってブレーキを思い切りかけると車輪がロックされ、後輪なら車体が左右に振れて転んでしまったり、前転なら下手をすると自転車が前転宙返りしてしまう恐れもあります。ケガや自転車事故を防止するため、ブレーキをかけるときは前後同時にかけるようにしましょう。

ブレーキは前後いっしょにかける

自転車の右折左折・進路変更の際は必ず後方確認

前を走る自動車がウィンカーを出さずにいきなり進路を変え、ヒヤッとした経験はありませんか? 自転車も右左折や進路変更をする際には手信号を出すことになっていますが、ごく一部の人を除いてそれは守られていません。つまり多くの自転車は、ウィンカーを出さない自動車と同じ状態で走行しているわけです。 本来、後ろから近づいてくる自動車やオートバイとぶつかるのを避けるには、手信号を出してこちらの意志を伝えるのがベストです。とはいえ手信号を出している間は片手運転になってしまうというリスクもありますので、一足飛びにそれを望むのは難しいでしょう。となると最低限やるべきなのが、右左折や進路変更をする前に後方を確認すること。障害物をよけたり駐車車両を追い越したりするときは必ず実行しましょう。そして、近づいてくる車両を確認した場合は必ず停止。仮に優先権がこちらにあったとしても、ぶつかってケガをするのもこちらです。おとなしく譲るに越したことはありません。

右左折や進路を変更する際は、必ず後方を確認する

自転車通学で守りたい車道の左端走行

本来自転車は自動車と同じ車両ですから、歩道ではなく車道を走行するのが原則です。しかし、日本では交通事故の死者数が1万7000人近くとなり“交通戦争”と呼ばれた1970年代、緊急避難として一部の歩道走行が認められました。そして、年が経つにつれ例外とされていたものが逆転、現在は自転車が歩道を我が物顔で走行するようになっています。 その結果、交通事故全体が減少傾向にあるなか、自転車事故、特に自転車対歩行者の対人事故が増加しており10年前との比較では1.5倍、近年でも横ばいが続き、交通事故全体のなかで占める割合は増しています。さすがにこの状況を看過することはできなかったのでしょう。平成23年に警察庁は通達を出し、「自転車は原則として車道を通行する」ことを徹底する方針を打ち出しました。 もちろん、今でも自転車の通行が許可されている歩道はありますし、それ以外の歩道も高齢者や子どもについては歩道の走行が認められています。しかし運動能力に優れた中高生が運転する自転車は、車道の左端を走行すべきでしょう。歩道では歩行者との速度差によって、むしろ事故の加害者になりえます。

最も危険な車道の逆走。正面衝突したら互いに大ケガすることになる
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