佐久島ってどんなところ?
愛知県西尾市に属する離島で、日間賀島・篠島と合わせて「三河湾三島」または「愛知三島」などと呼ばれています。人口は2015年の時点で250人ほど。年々減少傾向にあり、過疎化が問題になっています。 そこで、1996年に島おこしとして始まったのが「アートプロジェクト」です。 現在アート作品を島内に飾るだけなく、アートフェスティバルなどのイベントなども精力的に実施されています。その甲斐あってか、今では「アートの島」と言われるまでになり、島に帰ってきた若者がカフェなどの経営を通して観光業に貢献するなど明るい動きも見られます。 島の危機から始まったプロジェクトが、今では島の代名詞に。 青い海やどこか懐かしい街並みの中に現れる作品たちは、私たちを非日常の世界へと連れて行ってくれます。
佐久島への行き方
名古屋駅から電車・バス・フェリーを乗り継いで向かいます。 まず、名鉄本線「名古屋駅」から吉良吉田行で「西尾駅」へ。 「西尾駅」からはフェリー乗り場のある「佐久島行船のりば」までバスで約30分ほど。 「佐久島行船のりば」のすぐ隣にある「一色さかな広場」がフェリーの待合所です。 そこから20分ほどフェリーに乗ると佐久島に到着します。
注意したいのが、フェリーの出発時刻。佐久島行き・佐久島発共に1日に7本ずつしか運行されていないので、事前に調べることが必須。祝日などの繁忙期は混み合う可能性があるので、余裕を持って乗り場に到着しているのが得策です。 ちなみに佐久島の到着先は西港と東港があります。徒歩や自転車で十分に行き来できる距離ですが、宿や目的地から近い方を確認しておくと良いですよ。
自転車を借りて島をぐるっと一周
到着したら、おすすめしたい「レンタサイクル」。 アートスポットを効率的に周ることができ、自転車であればゆっくり漕いでも3時間かからず島を一周することができます。
出典:ぐるぐる名古屋 何よりも晴れた日のサイクリングが本当に気持ちいい。キラキラ輝く水面と、終わりの見えない広い空。映画のワンシーンのような景色の中、波の音とカモメの鳴き声に包まれて滑走すれば忘れられない一生の体験になります。
特に行きたい。おすすめアートスポット。
大小様々な作品がありますが、どれも島の優しい雰囲気をさらに際立たせてくれるものばかり。おすすめスポットを一つずつ紹介します。
おひるねハウス
佐久島の代名詞ともなっている「おひるねハウス」。西港からも近く、佐久島を有名にしたとも言える人気スポットです。 大人一人がちょうど横になれるほどの9つの部屋があり、上の段には自分でハシゴをかけて中へ入ります。ゴロンと寝転がると、四角に切り取られた海の景色を独り占め。誰に話しかけられることも邪魔されることもない自分だけの空間はお昼寝にぴったりです。気づいたら数時間経過していた…なんてことも。 自転車は端に置いておけるので、ゆっくりと楽しむことができますよ。
大和屋観音
おひるねハウスから少し走ると黒壁の集落が見えてきます。これは家を潮風から守るために、船底用の塗料として使っていたコールタールを塗ったもの。さらに、風よけのためにあえて家を互い違いに建てているんだとか。独特の雰囲気の中、自転車で駆け抜けると迷路を走っているようで不思議な気分。
そして、その集落の中に突然現れる観音像。もちろんこれもアート作品の一つです。もともと雑貨屋だったお店の外に飾られていて、昔から子供たちを見守っている想像世界の観音さまと言われています。 この観音さま。実は島内の他のアート作品にも登場しているので、ぜひ探してみてくださいね!
カモメの駐車場
次は60羽のカモメが綺麗に整列した「カモメの駐車場」。 佐久島では東風を「コチ」、南風を「まぜ」と呼びます。鳥が風の吹く方向に顔を向けて止まる習性があることから、その佐久島の風を表現するために作られたのがこの作品。海辺近くで暮らす島の人にとって、自然は生活に常に密接したもの。島ならではのコンセプトに沿った作品だと知るとさらに楽しめます。
イーストハウス
東地区にある「イーストハウス」。 「おひるねハウス」と並ぶ佐久島の人気スポットです。 海岸沿いに作られた2つの箱と、その間を真っ直ぐに伸びる約60mの白い道。 風のない日は箱の上に登ることができ、少し高いところから島と海を望める贅沢な場所です。
佐久島の秘密基地 / アポロ
島の端っこに位置するのが秘密基地アポロ。木々のトンネルを潜った先にあり、やっと辿り着いた時には本当に秘密基地を見つけたようなワクワク感を味わえます。 黒く塗られたさっぱりとした見た目と、大人一人がやっと通れるぐらいの小さな入り口。薄暗い室内は一人で入るには少し怖いかも。ところが、二階に上がって小窓から外を覗くと絶景がパーッと目の前に広がります。「来てよかった」と毎度も思わせてくれる佐久島のアートスポット。根強いファンがいるのも納得です。 ちなみに、ここまでの道中は凸凹したところもあるので、自転車は一旦置いていくか、手押しで入っていくのが良いですよ。
おわりに
日本に残る素晴らしい自然や歴史ある場所。 そういった場所の多くが過疎化などの問題を抱え、日々沢山の工夫を凝らしています。 佐久島のアートプロジェクトも島の活性化のために始まりました。 それが、今では島にとってはなくてはならない存在となり、全国から多くの人が佐久島を訪れる理由になっています。 どこか懐かしい街並みと壮大な自然。 そこに隠れたほっこりするアート作品の数々。 多くの人を魅了する小さな「佐久島」。 この夏、旅をしてみてはいかがですか?