今では自転車がライフスタイルの一部に
新しく自転車を買うなら「スポーツバイクを購入検討中の筆者。クールな見た目に魅力を感じつつも、気軽に買える金額でもないし、買っても自転車も続かなかったら…なんてことを考えてしまい慎重モード。ということで、さっそく冒頭から中村さんに自転車についてのお話を伺いました。 元々、中村さんは競泳出身ということもあり、トライアスロンを始めるタイミングでロードバイクに乗り始めたそうです。アスリートでもロードバイクを乗りこなすのに初めは苦労したそう。 「最初はビンディングシューズに慣れず、練習の繰り返しでした。初レースではランニングシューズで自転車に乗っていたので「あの選手はなんだ!」と驚かれることもありましたね(笑)自転車は、身体の使い方だけでなく、パーツの名称やメカニックの知識まで。練習することや覚えることは多く大変です。ただ好奇心旺盛で新しいことは大好き。自転車も「新しい挑戦」だと思いながら楽しむことができました。」 取材の当日、颯爽と自転車に乗って現れた中村さん。今では日常生活にも自然と自転車が馴染んでいると言います。平日は移動手段として、休日は仲間とのライドをしながら自転車を楽しんでいるようです。 「今日の自転車はSPECIALIZEDのShiv Expertです。IRONMANレースで私のパートナーになるエアロ形状のトライアスロンバイクです。(ホイールは練習仕様)ラメの色が見る角度によって変わるところがお気に入りポイント。隙間時間や都内の移動で日頃から自転車には乗ります。川沿いを走ったりしますが、とても気持ちいいですね。週末はトライアスロンの生徒さんや仲間と共に、早朝日の出時間に合わせて集合し、サイクリングロードでトレーニングを行っています。出発前は、毎回互いの高い安全意識を確認し合うことが儀式。その後パック毎にスタートします。一人で走るよりも、誰かと一緒に走る方が断然好きなんです!」 「趣味」にしなくてはいけない。と心のどこかで思い込んでいたけれど、ちょっとしたお出かけから乗り始める方が気軽でいいのかもしれない。通勤用に乗り始めてみるのもいいし、休日のサイクリングロードをのんびり走るのも魅力的。初心者だし目立たない白や黒のフレームがいいかなぁ。と考えていたけれど、とっておきの”マイカラー”を探してみるのも楽しそう。中村さんの話を聞きながら、理想のサイクルライフのイメージがどんどん膨らむのでした。
▲この日乗っていたのはSPECIALIZEDのトライアスロンバイク”Shiv Expert”
身体を動かす時こそ、ファッションを楽しむ
「まずは形から入る」という方こそ、新しいスポーツを始めるなら自分の好きなファッションやスタイル、ロールモデルなどから探してみるのも一つの手かもしれません。 タフなスポーツをやりながらもおしゃれを自由に楽しむ中村さんの話を聞けば「ここまでしても良いんだ…!」と思えるはず。こだわりについていくつか伺いました。 「派手でビビットな指先、ネイルとリングには特別こだわりがあります。リングは、数こそ減らしますが、レースにもつけたまま出ますね。あと髪の毛もブリーチしているので、3週間に1回は美容院に行っています。私のリラックスタイムです。」 さらに忘れてはいけないのが、美容対策。特に、自転車やランニングなどの長時間日光に晒されるスポーツで懸念されるのが肌の老化に繋がる日焼けです。日焼け止めの重要性について教えていただきました。 「日焼け止めは必ず塗ります。トライアスロンは海・風・太陽・大量の汗・長時間のレース、そして塗り直しする時間もレースタイムに含まれてしまうので、絶対に落ちない日焼け止めを使っています。全身に5回重ね塗りすると、IRONMANレースでも絶対に焼けません。日焼けをすると、本来筋肉に流れて欲しい新鮮な血液が、炎症を起こした皮膚に集まってしまいます。疲労を抑え、パフォーマンスを発揮するためにも、日焼け対策は欠かせないんです。」
▲日焼け止めは、縦塗りと横塗りを交互にする「格子塗り」で日焼け防止効果が高まるそう
ライフステージに合わせて生活リズムをつくる
話を聞いていて感じるのは、とにかく楽しみながら身体を動かすことと向き合っているということ。ですが、爽やかな中村さんのイメージとは反対に、トライアスロンはスイム・バイク・ランの3種目構成の最も辛いと言われるスポーツ競技の一つ。練習とコーチの仕事をこなすのは、想像しただけでも過酷そう…。一体普段のスケジュールはどのようになっているのか。 「朝起きたら背伸びをして、何も選択肢を持たずにまずバイクにまたがります。ローラー台を使ってバイク練習を60分程度行い、そのままランニングをすることもあります。その後、朝食をとってから2時間ほどコーチの仕事。昼は家に帰って、仮眠。午後は取材やブランドPR、商品開発などの仕事が入り、また夕方から夜にはお仕事帰りの皆さんと一緒に最終22時までコーチとしてプールに入ります。」 毎日ギリギリ出勤の筆者にとっては、未知の世界…。 中村さんは、ライフステージが変化するのに合わせて、自分の生活変化させていくことが重要だと言います。 たしかに、アスリートでなくとも、転職や結婚、出産などのライフイベントによって生活ペースは年齢によって大きく変わるもの。ジム通いを頑張っていたのに急に仕事が忙しくなり、なかなか時間が取れず悶々としていた時のことを思い出しました。あの時も、自分の時間が作れないからと嘆くのではなく、「今の自分」を受け入れて生活を適応させていくことが大切だったのかもしれません。
継続のカギは仲間の存在と環境
彼女のトライアスロンコミュニティにはなんと世界から600人が参加し、女性は約4割という異例の比率。中には、3人のお子さんを抱えた主婦の方もいるようです。そんな皆さんの「継続」のポイントは「環境」にあると言います。 「コーチとして上からみんなを引き上げるのではなく、みんなで輪になって手を繋いぎ、一緒に進んでいきましょうというスタイルが自分に合うと思います。休日の練習ではお子さんを連れてきて一緒に楽しめるほど、皆さん協力的な雰囲気。常にリクエストを聞きながら、居心地の良い環境を更新し続けられていることが良いのかもしれません。」 どのスポーツにも通じる成長や挑戦という経験。これだけ聞くと「辛そう」「キツそう」という印象を持つ人も多いかもしれません。ただ、誰かと一緒に始めてみることでそれは楽しみに変わり、やりがいに繋がる。時には心も身体も開放的にリフレッシュさせてくれる。自分に合った方法や環境、仲間を見つけることがスポーツを楽しむための鍵になりそうです。
「トライしてみる」という気持ちが大切
「私がかっこいいなと思う人は、『素材』が美しい人。着飾ったりメイクもたまには良いですが、何もつけていない素の状態が”美しい人”でありたいと思っています。母からもらった『強い人は笑い続けられる人』という言葉を大切にしています。どんな時も笑うことができる人は強い人だと思います。年齢やライフステージによって変化はありますが、私も強い人になりたいと思っています。強い人は真の”優しい人”だと思うから。」 一本の真っ直ぐな糸が本数を増やし紡がれ束ねられ、しなやかさが増していくイメージだと、ご自身の人生について語る中村さん。進む方向は一つしかないし、ブレない。だけど、軸は頑丈さよりも柔軟さが増していると話してくれました。
▲「変化や挑戦が怖い時は、新しいスポーツを始めてみるのがいいかもしれませんね♪」 何か新しいことを始めるならスポーツは最適かもしれない。目標を共有できる仲間探しから始めても良し、憧れのウェアを揃えておしゃれを楽しむことから始めるのでも良し。自転車を始めることもそんなに構えなくてもいいのかもしれない。中村さんのお話を聞き、変化することを楽しむこと、その時々の人生のステージでスポーツも自分自身も、自分らしく楽しむことが大切だと実感することができました。 衣装:Reebok 自転車:SPECIALIZED カメラマン:松村誠也
【プロフィール】 中村美穂 約20年の競泳競技生活を終え、一度は会社員になるものの「スポーツを通じてより豊かな人生を送ってもらいたい」という情熱を胸に、指導者として指導論・心理学・栄養学・児童心理学・東洋医学などを1から勉強し、現在はトライアスロンコーチとして活動。 ベビースイムからトライアスリートまで幅広く指導にあたる。大人のクセ抜き、省エネスイム、カナヅチ克服を得意とし、『美しく楽に速く』の3点は比例するというコンセプトを掲げ、まずカッコ良く泳ぐためのフォーム創りをしていきます。 ひとりひとりクセや関節の柔らかさは違う…それはランやバイクのコーチングでも同じことが言えると感じています。個人にマッチするパーソナルフォームを提案し、寄り添いながら楽しいトライアスロンライフ、そして目標達成を目指します。春日部共栄中学高等学校卒業。法政大学体育会競泳部出身。