お散歩中に吠えたら自転車が転倒…。これって飼い主の責任?

突然「加害者」になってしまう恐怖

試しにネットの法律相談サイトなどを閲覧してみると、飼い犬にまつわるトラブルで、しかも飼い主の責任が問われる事案の多さに驚きます。 たとえば… ・吠えたり急に飛び出したりして、驚いた相手が転倒 ・他の犬や他人に噛みついてしまった ・逃げてしまった犬が他人の庭に入り込み、花壇を荒らしてしまった など。 飼い主の多くが「ウチの子は絶対に人には攻撃しないから大丈夫!」と思いがちですが、タイトルのケース 犬の吠え声に驚いて、第三者が自転車で転倒 などの場合は、直接的に攻撃していなくても、訴訟問題に発展する場合もあるのです。

Cycling accident

法律的には、「動物の愛護及び管理に関する法律」(「動物保護法」)第7条、「動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若もしくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」 とされています。ただしこちらは努力義務として定めているにすぎません。 ペットが第三者に損害を与えたとして訴訟となるケースでは、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う」と規定された、民法第718条への抵触が考えられます。

高額の賠償を命じる判決も

最近判決が出たケースでは、以下の事案が高額の賠償命令として話題となりました。 飛び出してきた犬を避けようとして転び、けがを負ったとして、被害者が飼い主と保険会社に3948万円の損害賠償を求めて訴訟。裁判所は飼い主側に1284万円の支払いを命じる。 (2018年3月・大阪地裁)

Shetland Sheepdog running on meadow

報道によると、ランニング中に前方から飛び出してきた犬を避けようとして転倒、右手首を骨折するなどの負傷を負った上、後遺症なども認められたとのこと。 突然走り出した犬に対して飼い主がリードを離してしまったことで発生したトラブルのようです。 判決では、動物は予想できない行動をとるのだから、飼い主は散歩の際はつないでおく義務があると指摘。事故はリードから手を離したために起きたとして過失は重い、と述べられたとのこと。 さらに後遺症で男性の労働能力が一部失われたとして、治療費に加え、本来得られたはずの収入との差額867万円などの支払いが命じられたようです。 このケースの場合、ノーリードとしてしまったことに起因する責任が認定されていますが、リードをつけていた場合でも、犬の吠え声に驚いて転倒、骨折をした事例で損害賠償責任を認めた判例もあるのです。 飼い主としては「ワンちゃんは吠えてあたりまえでしょ?」と主張したくなりますが、この事案の場合、「(前略)犬は、本来、吠えるものであるが、そうだからといって、これを放置し、吠えることを容認することは、犬好きを除く一般人にとっては耐えがたいものであって、社会通念上許されるものではなく 犬の飼い主には、犬がみだりに吠えないように犬を調教すべき注意義務があるというべきである。(後略)」と判示されています。 飼い主としては、いつも愛犬の行動に対して想像力をもち、基本的なしつけを施すこと。そのことこそが、トラブルを防ぎ、楽しいペットとの生活を守ることにつながるといえそうですね。

もしものときに、飼い主として心がけておきたいこと

Angry Rottweiler

毎日のお散歩やお出かけ、ワンちゃんと一緒に公の場所に行くときは、最低限、以下のことに気をつけたいもの。

トラブルに備えるにはどうすばいい?
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常に「犬を飼っていない人、犬が苦手な人の気持ちをくんで」行動する

当たり前のことですが、世の中すべての人がワンちゃん好きとは限りませんし、犬の毛のアレルギーなどを持つ方もいます。 人とすれ違うときには、リードを短く持つ、狭い道などでは脇に寄って、相手に道を譲るなどの配慮をしましょう。また事例にあがったような、自転車とのトラブルは多く報告されています。暗い道などでは光るリードやカラーをつけてワンちゃんの存在をアピールしたり、すれ違う前にペットを抱えたりすることもトラブル対策には有効でしょう。

もしトラブルがおこってしまったら、誠意ある対応を

吠えかけてしまったらすぐに謝る、怪我などをさせてしまったら、まずは警察へ連絡しましょう。病院へのつきそいや連絡先の確認など誠意をもって対応することが大切です。 犬トラブルの事例でこじれてしまう場合、「うちの犬が悪いんじゃない」「そちらが~だったから」などと、愛犬を守るために言い訳をしてしまう、というケースが多いのです。まずは謝意と誠意ある対応をすることが、トラブルをさらに悪化させないために必要なことです。ただし、金銭的な約束は絶対に行わないように気を付けて下さい。

万が一に備え、個人賠償責任補償がついた保険への加入を!

加害者になってしまった時に、お相手の損害に対する補償がついている保険に加入していれば、経済面の負担が軽減されます。 また、お相手の損害に対する示談交渉を保険会社が代行するサービスがついていれば、気持ちの面でも余裕が生まれます。保険会社と話をするような出来事に遭遇しない事が何よりですが、万が一に備えて、「個人賠償責任補償がついたの保険」へのご加入されてくおくことをおすすめします。 愛するペットと平和でかけがえのない生活を送るために、「万が一」のこと、考えておきたいものですね!